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なぜか急激に増えた終末物語

ここ最近のアニメの流行として、「終末世界」を題材にしたものが多いです。
「メイド・イン・アビス」や「少女終末旅行」、そして「宝石の国」や「クラジの子らは砂上に歌う」など。
いずれも国内外で高く評価されています。

アニメというのは子供のものではない事は、日本では当たり前ですが、とはいえ高齢者でアニメ見まくってる人ってあまりいません。
宮崎駿とか、そういう人のごく一部の全年齢対象の名作以外のアニメを見ている人というのは、どんなに年齢が高くても「定年退職」しているような年代の人は少ないでしょう。
つまり少子高齢化や北朝鮮をはじめとする不穏な世界情勢など、未来に夢や希望が持てず、日々生きていくのが精一杯の世代が中心なのです。
そういった人達の心情を反映したのが、この「終末世界」を題材にした物語の流行なのだと思います。

原作者も、アニメの企画者も、同じく現役世代なわけですから、そういう漫画が多くなるのも、そういう漫画をアニメ化するのが多くなるのも当然です。

「終末世界」を題材にした物語は、別に目新しいジャンルではありません。
まだ日本が未来への夢や希望で溢れていた高度経済成長真っ只中、昭和の時代にも、有名な「サルの惑星」という洋画がありましたからね。
あれは人類が核戦争で滅んでしまった後に、サルが人類にかわって知能を発達させて地上の王者になった世界の話ですから。

そして現在アニメ化されているこれら「終末世界」の物語も、「サルの惑星」と同じくハッピーエンドにはなり得ないようなものが多いです。

現在の日本だけでなく、世界情勢を見るととても人類の未来は明るいとは思えません。
そういった漠然とした不安や絶望が、こういった物語を流行らせているというわけです。

なぜなら、人間は知能が高度に発達したがために、非常に正確な「未来予想」ができるようになり、それによってまだ現実にはなっていない、現実にならないかも知れない事柄に対して、過剰に反応してしまうようになったからです。
地球上のすべての生命の中で、「死」を恐れるのは人間だけであるという説もあります。
他の動物でも、殺されそうになれば逃げたり抵抗したり泣き叫んだりしますが、あれは「死」を恐れているわけではなく、単に「身の危険を避ける」程度なのです。
よく猫は死期を悟ると人の前から姿を消すなどと言われますが、実際はより安全な場所で体調を回復させようとする行動だともいわれています。
つまり、自分がこれから死ぬなどとは微塵も思っていないわけです。
そういう事が分かったり感じたり、恐怖したりするのは「人間」だけなのです。

だから人間は「宗教」など他の地球上の生命が持たないものを持っているのです。
そうしないと、精神が耐えられないからです。
同様に、夢や物語などに「悲劇」があるのも、スポーツのイメージトレーニングと同じ理屈です。
頭の中で想像して、まるで実体験したかのように錯覚させて、精神へのダメージを減らしたり、あるいは実際にそれが起こった時に精神が耐えられるよう、予行演習しているようなものです。
インフルエンザのワクチンなどと同じく、「悲劇」に対しての精神の抵抗力を高めているのです。

人間以外の生命は、おそらく「死」という概念を理解していません。
だから人間のように、精神へワクチンを打つような真似をしなくても生きられるのです。

つい最近までは、「今のアニメは異世界ものばかり」と批判されてましたけどね。
これも未来に夢や希望が持てない今の時代に対する、「現実逃避」のあらわれです。
「現実逃避」で「不安」を解消できなくなったので、「終末世界」の「悲劇物語」を次に求めるようになったというわけです。
来るべき「悲劇」に対して、精神が耐えられるよう少しでも予行演習しておこうというわけです。
むしろここ最近の「終末世界」物語には、ハッピーエンドなんぞ求められていないのです。
だからこそ、世界中で評価が高いのです。
たぶん人類の明るい未来などを描いたりしても、「終末世界」系のアニメほど高評価にはなりません。
昭和の時代の「ドラえもん」や「鉄腕アトム」の世界で描かれる、輝かしい人類の未来世界は現代ではウケないのです。

世界中でテロが起こっている。
日本はテロこそ起こっていないが、北朝鮮がいつ核ミサイルを自暴自棄になって日本へ落としてくるかわからない。
そうじゃなくても、中国・韓国・ロシアなど日本を潰そうとたくらんでる国の存在が次々と明らかになってきた。
またどこかの国と戦争にならなくても、今のまま行けば現役世代は年金すら貰えるかわからない。
死ぬまでブラック企業で働き続けなければならないかもしれない。
何の夢も希望も持てない。

これが「終末世界」系が流行る理由なのです。

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