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期待の新作MOBAが失敗した理由

ゲームポットが4月頃にサービスを開始した新作のMOBAゲーム(モバイル端末のゲームという意味ではない)の「コア・マスターズ」がたった3ヶ月でどうしようもなく過疎っている。

MOBAというのは、「クライアントダウンロード型」という自分のパソコンにプログラムをインストールしてやるネットゲームの、RPGとかSLGとかいうのと同じ分類の一種である。
クライアントダウンロード型のネットゲームといえば、MMOというRPGに属する物が多く、次いでFPSという一人称(自分)視点の対戦型ゲームが多かった。
このMMOとFPSの良い点を足して2で割ったのがMOBAと呼ばれる分野のゲームで、日本ではまだ馴染みが薄いのだが、世界市場では今一番流行っていると言われる分野である。
既に韓国製の「カオスヒーローズ」(通称CHO)というのがセガの運営の元で行われていたが、ルールや操作が複雑な本格志向のため、コアなユーザーしかプレイしていない。
そのため、簡素化してもっと多くの人に遊んでもらおうと作られたのがこの「コア・マスターズ」である。

オープンβからサービス開始当初は、同時接続が1000人以上おり、ここ最近のクライアントダウンロード型のネットゲームとしては「大成功」と言っても過言ではない程の人気があった。
にも関わらず、たった3ヶ月で人口は1/10から1/100ほどまで減った。
いったい何が原因なのか?


一番の原因は「同じぐらいの強さの人同士で戦えない」という対人ゲームにおいて致命的な欠点があるところであろう。
サービス開始当初は、他のMOBA系ゲームの経験者も、まったくこの手のゲームは初めての人も、右も左も分からない状態なので腕前の差はさほど問題にならなかった。
稀に一方的にやられる試合もあったが、基本的には勝ったり負けたりが半々ぐらいで、内容的にも僅差や最後での逆転など熱い試合が多かった。

しかし次第に操作や立ち回りに差が出始めた。
このゲーム、4人vs4人で戦うのだが、いくら自分が上手くても、残りの3人の味方が超絶に下手だったりした場合、あるいは敵が4人とも上級者だった場合は味方に一人でも下手糞が居ると勝てない。
しかもランキングが実装されていたので、自分がいくら不利な条件下でがんばっても負けてこのランクが下がるという理不尽な仕様だったために、次第に味方を選り好みする輩が増え始めた。
すなわち、味方に下手糞と思しき者が一人でも居ると、試合を放棄するのだ。
キャンセルや切断などと言われた行為が横行し、下手糞や後からはじめたために実績が無く、ランクの低い人は試合さえさせてもらえない状況となった。
もっとも無理にそのまま試合を行っても、一方的にやられるばかりで、結局は下手糞や新規は萎えてゲーム自体を止めてしまう羽目になるので同じなのだが。

そういう試合の組み方、これを「マッチング」などと言うが、その欠点が指摘されまくったにも関わらず、運営も開発元もなにひとつ対策をしなかった。

いやまったく対策をしなかったわけではない。
キャンセルや切断に対するペナルティーを厳しくし、ランクが下がる事を嫌がって味方を選り好みするのを事実上できなくした。
これによって下手糞でも初心者でも対人試合は行えるようにはなったのだが、根本的な原因である「同じぐらいの強さの人同士」での試合にはならないので、結局はユーザーの不満を晴らす事にはならなかった。
根本的な原因に一切対処せず、また対処しようとする素振りも見せずにペナルティーだけ厳しくしたために、そういう事を行ってまでランクに拘る必死なユーザーを離れさせる事となった。
また下手糞や新規もせっかく対人試合が行えるようになっても、上級者の軍団に一方的にやられるだけの詰まらない試合ばかりさせられるので、結局萎えて止めさせる羽目になった。

今現在でもこのマッチングの根本的な仕様改善は行われていない。
いつかは何とかしてくれると思っていたユーザーも、さすがに何も動きが無いばかりか、どーでもいいアップデート(マスターと呼ばれるプレイヤーキャラの追加やイベント等)ばかりに失望し、引退する者が増えていった。

その結果が現在の状況だ。
上手い人同士で4人PTを組み、絶対にボロ負けするような試合にならない人以外は、ほぼゲームから去ったと言っても過言ではないだろう。



ではどうすれば良かったのか?

せっかくランキングシステムがあるのだから、ランクを数値化して4人の合計値を総戦力として出し、双方のチームが同じ数値または近似値になるようなマッチングをするなどの改善をするべきだったのだ。

例えばスポーツの試合などは、誰でも参加できるトーナメント方式の大会でもない限り、基本的には同じ力の者同士が戦う。
Jリーグには一部と二部があるし、野球にも1軍と2軍がある。
相撲も横綱と十両が公式な取り組みを行うことは無い。
またプロ将棋の世界も同じで、名人とプロ棋士になったばかりの段位の低い者が公式な対戦を行うことは無い。

このように、ゲームというのは同じ力の者同士が戦うから、やる方も見る方も面白いわけで、だからこそ商売として成り立つのである。

このゲームの大原則を無視し続けた当然の結果なのである。
これならまだ札束で殴りあうゲームの方がマシだ。
コア・マスターズは札束で殴りあうゲームにならないよう、課金額によって数値的な強さが上昇しないシステムになっている)

以前にもここで紹介し、遂にサービスが終了した「クリスタル・コンクエスト」の方がまだ楽しめたという皮肉な結果になってしまった。

ネットゲーム、特に対人がメインになるようなものを運営・開発する企業や人は、それを失敗させたくないならいかにして「対等な条件の下で、対等な腕前同士が戦えるようにするか」を一番に考えた方が良い。
私も今回このゲームで、今まで自身が考えてきた「対等な条件こそが対人ゲームの基本である」というのが、間違っていた、というか足らなかった事を思い知らされた。
「対等な強さの者同士での戦い」これが一番重要なのだ。

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