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完全スキル制MMOの面白さと難しさ

完全スキル制MMOとは、キャラクターレベルや「職業」という概念が存在せず、取得するスキルの種類とレベルによってのみ、キャラクターの強さや職業っぽいものが決定されるMMOである。

とは言っても、半スキル制MMOであった有名なMMOアニメのSAOなどと違って、いくつでも取れるわけではない。
完全スキル制MMOの元祖であるウルティマ・オンラインでは、スキルレベルの総計が700までと決まっていた(今は知らないw)。
よって7つのスキルをレベル100のマスターにするか、あるいは14個のスキルをレベル50づつ取るかといったように、組み合わせは本当にたくさんあった。
もちろん戦闘系や生産系や、あるいは対人系など遊ぶ目的に応じて、テンプレのようなスキルの取得パターンはあったが、基本的にみなそれぞれ自由にスキルのレベルと数を組み合わせており、「個性」というものが存在していた。

この仕様のおかげで、剣でも魔法でも攻撃できるとかいう、ドラクエの「勇者」のようなキャラクターも作れた。
ただし、取れるスキルやレベルが、純戦士や純メイジ(魔法使い)と比べて少なかったり、スキルレベルが低くなってしまったりするため、強くは無かった。
もっとも、ウルティマ・オンラインの戦闘はキャラクターの強さより、いかに自分のキャラクターの特性を生かした立ち回りが出来るかという、「プレイヤースキル」の方が重要だったので、上手い人ならPvE(プレイヤー対NPCモンスター)なら相当に強い敵とも渡り合えた。

スキルの種類も豊富にあり、例えば他のMMOだと戦闘中の回復手段は回復魔法かPOTと呼ばれるHP回復薬しかない。
しかしウルティマ・オンラインでは、戦士系の回復手段スキルとして、INTに依存しない「包帯」というスキルが用意されていた。
文字通り、包帯というアイテムを使ってHPを回復するスキルで、回復魔法やPOTのような即効性は無いが、確実に一定量のHPを回復でき、しかも包帯さえ尽きなければいくらでも使えた。
さらにこの包帯スキルのすごいところは、マスターレベルになると、なんと蘇生まで出来てしまう所だったw
魔法による治療、POTなどの薬による治療の他に、現実世界にある医学をモデルにした、いわば物理的治療とでも言うスキルだ。

完全スキル制のMMOは、スキルレベル総計700に到達するまでの時間は戦闘系なら1週間ぐらい、生産系でも1ヶ月あればキャラクターが完成してしまう。
従ってレベル制MMOのように、戦闘しかやる事が無いと、すぐにカンストしてしまって、遊び終わってしまうのだ。
ところがウルティマ・オンラインはそうはならなかった。
むしろキャラクターが完成してからが、面白いのだ。

課金ガチャゲーのように、一生使えるレアアイテムが無いので、生産職の作った武器や防具も売れるため、生産で生きていく事もできた。
自分で家を建てて、そこをお店にするプレイも可能。
その他にも家具職人(木工)や細工職人(生産に使う道具を主に作る)、裁縫職人(皮・布製品)、そして錬金術師(POT生産)など多伎に渡り、スキル制限の都合上、全ての生産を自分で賄おうと思ったら、それぞれの職人特化キャラを作らなければならず、また生産も原材料集めから行わなければならないので、とてもじゃないけどニートですら自分で戦闘で消費する全ての生産品を自給自足するのは、ほぼ不可能であった。

この素晴らしいバランスのおかげで、リアル社会と同じようにいろんな職業の人が、いろんな事をしながら生きていた世界だ。

欠点もある。
レベル上げやレア集めと言った、キャラクターを極限まで強くする事ができないので、クエストだのレアアイテムをドロップする強力なボスや、あるいはそれに関するクエストなどが一切無い。
ウルティマ・オンラインを初心者がやって最初に思うのは、「何をしていいのかわからないw」というものだ。
私も最初はそうだった。
レベル制MMOのように、とにかくレベル上げて装備だのなんだのを伝説級の強いレアで固めるのが目標という、明確なものが無いのだ。
しかし、だからといって遊べないわけじゃない。
むしろレベル上げ作業を強制されない、本当の自由があったゲームだ。

ギルドやPT機能もあったが、それらは既存のレベル上げだけが目的のMMOと違って、強制でも必須でもない。
実際、私はアクション苦手なので、戦闘にはあまり向かずに、ひたすらソロで生産プレイとかをメインにやってたが、それでも面白く生きていけていた。
苦労して土地を探して小さな家を建てて、そこを店にして自分の作った武器や防具を「ベンダー」と言われる売り子NPCを雇って持たせて立たせておくと、1日でベンダーの持っていた商品全てが売り切れるなんて事も珍しくなかった。
このゲームは装備品のサイクルは非常に早いので、戦闘メインの人は常に高品質な武器を大量に作って販売してくれているマスタースミス(鍛冶屋)の店を見つけて常連になるのは必須だったw

ギルドチャットやPTチャットなど、会話なんぞ1日中しなくても、なんかそういので他の人と繋がってるなぁと感じられる遊び方も、ボッチやコミュ障でもできた。
逆に言えば、コミュ障はリアル社会と同じくずっとボッチになるゲームでもあったわけだがw

企画や運営が想定していない遊び方なんてのも出来た。
有名なのは、アイテムが積み重ねられる事を利用した、ゲーム内には存在しない家具や調度品アイテムを作ってしまう事だ。
水色に染めた布を何枚も重ね合わせ、間に釣りで釣った小魚を入れ込むと、まるで水槽のように見えるとかw

とにかくそこには本当の「自由」があった。
企画や運営に「強制」されない、本当の遊びがあったのだ。

これが完全スキル制MMOの最大の長所であり、そして作るのが難しい理由だ。

ただ以前も述べたように、少なくとも全てのアイテムの「耐久度」を設けて、一生使えないようにするだけでも、オマケにしかならない「生産」という職や遊び方が生きてくる。

レベル制であり、職業という概念がありながら、この「生産」を上手くまわしていたMMOがひとつだけある。
信長の野望オンラインだ。
あれはそれぞれの職業に専用の生産スキルがあり、全ての職業の生産スキルによって生み出された材料を使わないと、装備が完成しないようになっていた。
なので常に全ての職業の生産品に需要があった。
信長の野望オンラインも、ウルティマと同じく装備品には耐久度が設定されており、修理して寿命を多少延ばす事は出来ても、一生は使えなかった。

また信長の野望オンラインには、もうひとつ他のMMOには無い素晴らしいシステムがあった。
それがPT検索機能の充実だ。
他のMMOでもPT検索機能が付いてるものはあるが、とにかく使い難いし見難い。
信長の野望オンラインのPT検索システムは、経験値稼ぎ狩りなのか、特定のダンジョンに行きたいのか、そういった希望や目標が運営があらかじめ用意した選択肢から選ばなければならないものではなく、コメント欄に自由に記載できるようになっていた。
固定表示されるのは、自分のレベルと職業だけだ。

またPTを募集している人だけでなく、PTに勧誘を希望する人も一覧に表示できた。
プレイヤーは自分がリーダーとなって募集する事も、あるいは自信が無い人は勧誘希望として待つ事もできた。
募集している人へも勧誘希望の人へも、一覧から一発で個別チャットを送れたり、どこで何をしていててもPTを一発で組めるボタンがあったりした。
私のような引っ込み思案で自分に自信が無いプレイヤーには、このPT勧誘待ちが出来る機能は非常にありがたかった。
これのおかげで、PTに入る事ができ、そこで仲良くなった人達と友達になる事も出来た。
勧誘希望として出して誘われた場合、たとえプレイヤースキルが未熟だったり下手だったりしても、それは勧誘したリーダーの見る目が無かった、責任になるわけだし、コメント欄にひとこと「初心者」だの「あまり強くない」など書いておけば良かった。
そもそも、ウルティマ・オンラインと同じく、信長の野望はキャラクターのステータスや装備による差というのは小さく、レベルが同じであれば、PT内で自分の職業に応じた立ち回りがどの程度きちんと出来るか、敵の動きに応じた対応がどれだけ素早く正確に出来るかといった、「プレイヤースキル」の差の方が大きかった。

いくつかの既存のMMOで、意見としてPT検索機能を付けろとか、PT募集検索だけじゃなく勧誘希望も出せるようにしろとか出したが、未だに信長の野望オンラインのような、素晴らしいPT検索システムを作ってくれたところは無い。
PT必須ゲーなのに、スタートダッシュ組みに入れないと、PTが組めずにクリアできないクエストや手に入らない装備やアイテムが多すぎて詰んでしまうゲームの何と多い事か。
そんなもん世界チャットで叫んだり、あるいは低レベルPTでも募集してるのあるし、そういうのに積極的に応募すりゃいいじゃんと思う人も居るだろう。
しかし世の中にはネットの中でさえ、そういう事が出来ない人間というのは大勢居るのだ。
そもそもそれらを行おうと思ったら、長時間PT募集を見張るか、長時間叫び続けなければならない。
その間、他の作業は出来ないのだ。
信長の野望オンラインのような勧誘希望が出せるシステムであれば、勧誘されるまでは狩りをしていても、素材集めをしていても、生産をしていても、自由に時間が使えて効率が良いのだ。

戦闘しかやる事が無い昨今のMMOでは、ギルドや固定PTなど気の会う仲間を作ろうと思ったら、最初は「野良PT」と言われるものから始めるしかない。
しかしその「野良PT」が継続して、サービス開始から何年経っても、どんなレベルでも組めるシステムになっていないから、どんどん廃れるのだ。
件の信長の野望は、もうかれこれ10年以上続くMMOだ。
もちろんウルティマと同じく「月額課金制」だからというのもあるだろう。

しかしMMOとは企画・運営の工夫次第では、いくらでも長続きする、定期的に新規が入ってきて定着してくれるようなシステムにする事は可能なのだ。

キャラクターの強さに差がありすぎて、PTが組めないという糞仕様を無くす「完全スキル制」にするか、さもなくば新人教育したい人が、本当にそういうのを必要としてる人と出会いやすく出来る信長の野望オンラインのPT検索システムを入れるべきなのだ。

ゲームというのは、かわいい絵の女の子やペットが居るとか、有名声優がしゃべるとか、そういうのを主としてはダメなのだよ。
もちろんそれらは、いくらシステムが優れたゲームでも、絵がショボくて誰もやってくれない=商売にならないというのもあるので、ある程度は必要だろう。
だがそれだけで客を引き止めるのは無理だと、いい加減学べ。

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