2ntブログ

ウルティマ・オンラインから学ぶ ネットゲーム(MMO)のバランスの取り方

ウルティマ・オンライン(以下UO)は、ネットゲーム創世記の名作であり、今なお超えるMMOが出てこない非常に優れたシステムを持ちます。
それはクライアント・サーバプログラム及び通信技術はもちろんですが、ここではゲームシステムについて述べます。

1.常に「需要」が発生するシステム
ウルティマ・オンラインは、一部のアイテムを除いて全てが「消耗品」扱いです。
このゲームで一番高価なアイテムは、「家」なわけですが、今は知りませんが「家」自体も1日1回、家主が帰らないと(入り口の扉の開け閉め)「腐敗」が進行していき、1週間~10日ぐらいだったと思いますが、家主不在が続くと消滅しましたw
またたびたび言っているように、装備の類もすべて「耐久度」がある「消耗品」扱いになっており、今のネトゲのように永久に使えるものは存在しません。
したがって「レア」という概念もなく、また一番性能の良い装備品というのは、それを作るスキルを極めた生産プレイヤーが作るものであり、しかも「耐久度」システムにより永久に使えないので、定期的に買い換える必要がありました。
そのため、生産というシステムが「オマケ」にならず、またプレイヤー間の取引、商売という交流が絶える事がありませんでした。

レア装備・アイテム等で集金している基本無料の今のゲームが、月額課金制のゲームと同じシステムでやっていけるわけがないと反論する人も居るでしょうが、むしろ基本無料のアイテム課金にこそ、このシステムを取り入れるべきです。
なぜなら、販売したレア装備・アイテムが永久に使えず、一定期間で買い換えないと強さが維持できないシステムであれば、わざわざ新しい、更に高性能なレアを出して強さのインフレを起こしてバランスを崩さずとも、永久にガチャなりに課金者がお金を落としてくれる事になるからです。

永久に使えないものに、金払う奴なんて居ないという「思い込み」こそが間違いなのです。
最初からそういうシステムであれば、誰も文句言わないし、お金だって払い続けてくれるでしょう。

そもそもネットゲーム自体が「永久」ではないのですから。
売り上げが落ち、人が減ればゲーム自体が終わってしまうわけです。
100万円とか使って手に入れた、レアアイテムもパーですよw
運営サービスが終了したからといって、今までつぎ込んで手に入れたレアアイテム分のお金を払い戻してくれるなんて事はないわけですから。
それを考えれば、むしろ「消耗品」である方が、遥かに「親切」と言えます。
もちろん100万円課金しないと手に入らないような値段設定では誰も買わないでしょうw
もっと安くして、継続的に小額が多くに人から入るようにするのが、健全で運営にとっても「安全」な商売と言えるでしょう。

2.データで設定できる強さの差は最小にする
もともと「ゲーム」というのは、人間自身の頭の良さだったり、肉体能力だったりといった、「数値で表せない」ものを競う「遊び」です。
だからこそ面白いわけです。
将棋も囲碁も、野球もサッカーも、コンピュータの数値データで表せないもので競うからこそ、やる人も見る人も面白く、そして何百年と飽きずに続くのです。
コンピュータゲームも同じです。
ウルティマ・オンラインは「キャラクターレベル」という概念はありません。
全て「スキル」というもののレベルによってのみ、「差」というものが発生します。
ただし、その「スキルレベル」による「差」というのは、プレイヤースキルという数値で表せないものの差に比べたら、遥かに小さいものです。
また、スキルレベル自体は戦闘系のものなら1週間から10日程度でMAXの100(マスターレベル)まで到達できるし、それより時間が掛かる生産系のスキルも1ヶ月程度あればMAXにできます。
なぜなら、「レベルを上げる」事がメインの目的ではないからです。
「レベルを上げる」という行為は、いずれはMAXになりますし、いくらマゾ仕様にしようが、かならず「終わり」がやってきます。
そもそもあまりにマゾすぎる仕様にすれば、それはそれで客が来なくなります。

今のネットゲームが抱える、「後発新規」と「先発廃人」が強さの差がありすぎて、一緒に遊べないという問題が、ウルティマ・オンラインにおいては起こらないのです。
「後発新規」であっても、「数値的な強さ」というのはすぐに「先発廃人」に追いつけるからです。
差が出るのは数値で表せない、長くやっている事による操作の上手さやゲームシステムの知識の豊富さといった「プレイヤースキル」だけです。
それによって一緒に遊べないという事は無いですし、むしろそれを後発新規に伝授していくという、わざわざゲームシステムで師弟システムみたいなのを用意しなくても、自然と新規と廃人の交流が生まれます。
ウルティマ・オンラインが10年以上も経つのに、未だにサービスが続けられているのは、月額課金制だからではないのです。

月額課金制なら、うちのゲームだって10年以上サービス続けられるわと言う運営も居るでしょうが、ならばそうしてみればいいです。
月額課金制にして、永久に使えるレアアイテムを廃止したところで、今のネットゲームの殆どは、長くても数年で廃れるでしょうw

なぜなら、数値的に「強くなる」事しか目的が無く、しかもそれは月額課金制にしたところで、「長時間」プレイできる人がより有利になるだけで、新規が廃人に追いつく事は決してできないからですw

「プレイヤースキル」という、金を注ぎ込めば、あるいは長時間ダラダラやり続ければ、必ず上がるわけでもないものを競う。
これは「ゲーム」の本質であり、コンピュータゲームといえども、それは同じという事です。
だからこそ、FPSやMOBAなどの対人系のゲームはeSports(イースポーツ コンピュータの対戦ゲームをスポーツと捉えたもの)にまで発展したのです。

3.重さによる制限
ウルティマ・オンラインは、どんなプレイヤーでも最初から持っている「バック」は、最大で「255個」のアイテムが入ります。
今の持ち物枠があるネットゲームでも、どんなに課金しても255枠まで拡大できるものはそうそうありません。
しかもウルティマ・オンラインのバックは、バックの中に更に小さな「バック」を入れる事ができ、そのバックの中に入れたバックにも、個別に255個のアイテムが保管できるので、理論上はほぼ持てるアイテムの数に制限が無い仕様になっています。
しかしそれだと、永遠とダンジョンで狩りができたり、永遠と採集・採掘などの生産材料集めができたりと、BOTを誘発しかねないという欠点もあります。
それができないのは、武器・防具や採掘・採集に使う道具などに「耐久度」があって永久に使い続けられないためと、もうひとつ重要な要素があるからです。
それが「重さ」の概念です。
これがあるために、持てるアイテムの数は理論上は無限でも、無限に持てないのです。
全てのアイテムには「重さ」が設定されています。
ゲーム内通貨すらもそうです。
なので永遠にダンジョンで戦ってアイテムを回収し続ける事も、永遠に採集・採掘をし続けて生産材料を採り続ける事もできません。
なぜなら、持てる重さを超えたアイテムを持つと、動けなくなるからです。
その状態でも剣を振るったり、魔法を使う事はできますが、一歩も動けないのですw
一歩も動けなければ、いくら沢山の戦利品や材料を集めたところで、保管しに行けません。
ウルティマ・オンラインには、リコールやゲートといった瞬間移動系の魔法もありますが、いくらそれで街や自分の家の入り口に戻ったところで、そこから一歩も動けないので、倉庫や銀行といった保管場所にアイテムを移す事もできないのですw

これが糞みたいな枠数の制限で、課金させようとか、行動を制限しようとかしなくても、プレイヤーの行動に「理にかなった」制限を設ける事のできる理由です。
ちなみに、この「持てるアイテムの総重量」の大きさは「STR」依存です。
従って、魔法使いより戦士系の方が行動時間は長いです。
生産系の人も「STR」を「INT」より上げます。

職業格差・・・というかウルティマ・オンラインには明確な職業という括りはありませんが、魔法系が必ずしも戦士系より有利だったり恵まれているという今のネットゲームの常識が当てはまらないのです。

ちなみに戦士系でも遠距離攻撃をメインとするプレイヤーはどうなのか?というと、ウルティマ・オンラインには弓という遠距離物理攻撃がありますが、これも「矢」が無いとそもそも撃てない仕様になっています。
「矢」にも重さが「1」以上で必ず設定されており、「矢」自体は1000でも2000でもカバンに入りますが、自分が持てる重さを超えた数は持てないので、実質的に近接物理攻撃に比べて「有利」ではありません。

魔法及び矢はほぼ必中ですが、防御力と回復手段が十分にある近接物理系のプレイヤーには、長期戦に持ち込まれたら勝てないというバランスになっています。
近年のネットゲームで「不遇」の代名詞のような近接物理・盾職というのが、「不遇」ではないのです。

もちろんこれらは「プレイヤースキル」によって、いくらでも逆転可能です。

・結論
月額課金制だから、ウルティマ・オンラインは10年以上も生き残っているわけではありません。
それを理由に、かのゲームの良い所、長寿の理由を分析せず、バランスも何も一切関係なしの集金ゲームを作り続けるような、思考停止のアホ運営や企画・開発ばかり続けていたら、ゲームサービスだけでなく会社そのものが存続できなくなるでしょうということです。

特にMMOというのは「仮想現実」を最も体験するためのゲームです。
そりゃ現実にはあり得ない「魔法」があったり、死んでも生き返れるなどの要素がある以上、それだけでもはや「非現実的」ではありますが、少なくともそれ以外ではできるだけ「現実」っぽさを出すべきでしょう。
その最たるものが「永遠」というキーワードで表されるのです。
「永遠」なのはプレイヤーキャラクターの存在だけにすべきです。

「永遠」でないからこそ、世の中の経済や人的交流というのは絶えないのです。
そこをネットゲームを作る・運営する人は、よーく頭に入れておくべきです。

コメントの投稿

非公開コメント

カウンタ
プロフィール

ウホッ!いい男

Author:ウホッ!いい男
異世界転生を待ち続ける中高年のおっさん

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR