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人類の二面性の弊害

ゴーン会長の問題の原因のもうひとつに、人類全体が持つ二面性(ダブルスタンダード)がある。

例えば、世界中を「侵略」して「植民地」にしたかつてのイギリスは、「大英帝国」と呼ばれ、今でも栄光の歴史として評価される。
しかし、同じ事をやろうとした「ナチスドイツ」や「戦前の日本」については、とんでもない悪い奴らだ、国だなどと今でも叩かれる。

両者の違いは、世界征服(笑)をやり遂げたか失敗したか、だけである。

失敗したんだから、叩かれても仕方ないという意見もあろうかとは思う。
歴史は勝者によって書かれるもんだと、それが間違ってると思っていても認めてしまう人も多い。

だが考えてみて欲しい。

プロ野球選手になりたくて、学生時代にどこにも遊びに行かず、ひたすら野球の練習だけをしてきた。
それも生半可な練習ではなく、毎日が胃液を吐くほど苦しく厳しい練習だった。
しかしそんな事をしても、全員がプロ野球選手になれるわけじゃない。
むしろプロ野球選手になれなかった人の方がが多い。
そこまでやったのに、プロ野球選手になれなかったという、ある種の「失敗」をした人を指して、「あいつは悪い奴だ」なんて言う人が居るだろうか?
いないよね?
なぜなら、プロ野球選手になるという目標は、「悪いこと」ではないからだ。

でも戦争に関しては違う。
戦争自体が悪いことだし、ましてや他の国を侵略したり植民地化したりってのは、現代の価値観ではすべて「悪」だ。
にも関わらず、過去に大帝国を築いた王様だったり皇帝だったり、あるいはその側近や民族は高く評価される。
おかしいだろと。

人類の歴史上で「英雄」と言われている人間と、人類史上最悪の「悪人」と言われて、名前を言う事さえはばかられるような国も多い「ヒットラー」と、何が違うのかとw
やろうとした事、やった事は何も違わないんじゃないの?と。

様々な事にチャレンジして、成功する人、失敗する人というのは、小さな事から大きな事まで日常的に起きている。
大規模なテロを指導して成功させまくったら、「英雄」になるんか?
誰にも迷惑を掛けない、むしろ人類社会に貢献するような目標に向かって努力したけど失敗した。
そういう人も、「失敗」したのだからと世紀の大悪人になるんか?と。

ゴーンの経営手腕を未だに高く評価する人も、テレビで見る。
会社をいくつも立て直したという結果だけ見れば、確かにそうだろう。
だがその「成功」は、クビをきられた何万人なのか何百万人なのかの「犠牲」の上に成り立っている。
リストラを断行できなかった、かつての日産経営陣は「無能」で、それをやったゴーンは「有能」であるとw

じゃあ逆にそういう人に聞くが、たくさんの人間を殺しまくって大帝国を築き上げた人は「有能」で、誰も殺さず、その代わりにごく限られた地域で、細々と国民と共に生きる道を選んだ王様は「無能」なのかと。
むしろ「モラル」的には、前者は大悪人であり、後者が有能な良い王様になるんじゃないんかと。

こういうダブルスタンダードの言動を、平気で出来る奴の気が、私は知れない。
未だにテレビ等で、「でもゴーン会長の手腕は、確かに素晴らしかったんですよ」なんて言ってる業界関係者なのか、評論家なのか見ると、実際にクビを切られて路頭に迷って散々苦労した、かつてのリストラ社員達の前で同じ事が言えんのかと。

こいつらの頭の中は、結局のところ「ゴーンを高く評価する俺、すごい見る目があるw意識高いw」なのだよ。
てめー自身は、良い事はもちろん、悪いことさえ出来ずに、何の成功も失敗もしてない奴が、大成功という結果だけ見て、それを評価する事で自分も「偉い」人間だと、自己満足しているだけ。
海外で活躍した日本人を、その人スゲー、日本の誇りだ→日本スゲー→日本人である俺もスゲー とかアホかと言ってる連中が居るが、それと変わらないのだよw

まぁだいたい海外の反応系でホルホルしてる日本人を叩いてる奴らも、同じ事を自分たちが普段してるわけだがw

会社がヤバくなったら、躊躇なく大量リストラを出来る経営者こそが、「有能」であるという間違った認識は、いい加減に正した方が良いと思う。
経営陣に支払われる、末端の社員の何倍も何十倍もの高額な報酬というのは、それら末端の社員を自分たち経営陣が犠牲になってでも、いざとなったら守りますという「責任」に対して支払われているという事を、いい加減に理解すべき。

昨日も述べたが、群れのメンバーを率先して守るという「義務」を果たさない奴に、高額な報酬という「特権」を得る権利はないのだと。
会長だの社長だの取締役だのの資格は無いのだと。

そういう理屈なので、リストラがいかに間違った手段であり、それを評価する奴がいかにアホかってのが、分かると思う。
つまり、ゴーンは有能な経営者ではなく、むしろ悪逆非道の無能経営者であり、暴君であったというのが、私的には正しい評価であり、だからこそ、このような問題を引き起こして逮捕されるような事をやれるんだと納得できる。

大多数の農民から、少数の王族や貴族たちが食料を巻き上げて、農民が貧困に喘いでいるのに自分らは贅沢三昧。
ゴーンのやった事を、こう例えれば「彼は経営者としては有能だったんですよ」なんて言えないと思うがねw
武士の時代の日本風に言えば、倒産寸前まで悪化した藩の財政を、農民から反乱覚悟で強引に大量に年貢を搾り取りまくる事で回復させた。
その事で、多数の農民が餓死した。
だけど藩の財政を回復させ、お家取り潰しになって幕府の直轄地になる事を阻止した、そのお殿様なのか家老などの側近重役なのか、そういう人は「有能」で「偉く」て「英雄」なんかと。
ゴーンを評価するってのは、これと同じ事だとなぜ分からんのかと。

別に私はゴーンにリストラされた元日産社員でも何でもないし、ゴーン氏に恨みなんぞない。
そもそも私は直接的被害はなーんも受けていないわけで、それをまるで自分にも謝罪と賠償をさせる権利があるかのように振舞うどこぞの国の民族のようには、なりたくないしw

ただ、「いやいや、たしかに違法行為をしたかも知れないですけど、でも経営者としての手腕は素晴らしかったんですよ?」なんてテレビという公共の電波を使って、平気で吹聴するような人間が許せないだけだ。

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