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~より良いものを より安く~ 日本独特の商売法 

よく日本の販売店のCMなんかで使われる「より良いものを より安く」は、日本の全ての業種で理想の経営理念として実は使われているものです。

中国や韓国の企業が日本を追い越せない理由が、ここにあります。
中国や韓国の企業は「より安く」だけを追求し、「より良いものを」というのは軽視します。

MADE IN JAPAN は高品質の代名詞と言われますが、実は高品質だけでなく、品質が良いのに安いから世界で売れ、日本製というものの評価を上げたわけです。

高品質なものなら、日本以外の国や人だって作れます。
時間とコストを無視すれば、誰だって作れるんですよ、そんなもんは。
別に日本人が世界で一番優秀な民族でもなんでもないんです。

安くものを作るためにどこの国の企業も行うのが、コストダウンです。
このコストダウンの仕方が日本と海外の企業では違うということです。

世界的企業であり、コストダウンの手本として世界中の企業が注目するトヨタの「改善」というのがあります。
「改善」とは、工場などで無駄を減らしてより早く安くものを作れるようにしようという日本独自のコストダウン法です。
海外の企業は工場などの生産コストを下げようとする場合、まず品質や機能の削減などで対応しようとします。
例えば部品の寸法の誤差を大きくすれば、それだけ未熟な人でも作れるし、熟練の人は作るスピードを上げることができます。
また、「ここまでの機能は要らないよね」と機能を削減すれば、その機能分のコストが下がりますからね。
ところが日本は違います。
製品の品質や機能は極力下げずに、ムラや無駄を減らすことで対応しようとするんです。
不景気が長引いたので、日本企業でもこれだけでは対応しきれずに多くの企業が西洋式のコストダウンを行い、余計にピンチになってしまったというのもありますけどね。

これは工場とかだけでなく、サービス業といわれる業界でも同じです。

私は学生の頃、日本最大手のファミレスチェーンでアルバイトをしていました。
そう、「すかいらーく」です。
バブルが弾けて以降、「すかいらーく」も業績を大幅に落としました。
そこで出てきたのが「すかいらーく」グループの新しい店舗形態である「ガスト」なんです。
「ガスト」は「すかいらーく」より安く食事ができます。
「ガスト」は「すかいらーく」に比べて、シンプルな料理が多いので、工業製品で言うところの「機能」の削減で商品の価格を下げたという西洋式コストダウンの結果と見られがちです。
でも実は製品の品質自体は落としていないんです。
そのもっともわかりやすい例が「ガスト」も「すかいらーく」も人気定番商品である「ハンバーグ」は同じものを使っているというのがあります。
つまり店舗での調理方法が違うだけで、専用工場から送られてくる冷凍ハンバーグは、どちらも同じものを使っているんです。
「すかいらーく」は「ガスト」という店舗形態を作るにあたって、徹底的にオペレーションコスト、つまり従業員の動きを分析し、無駄を省きました。
それこそ様々な料理の調理をする厨房担当者の移動距離をcm単位で測ったり、料理する時間を工程ごとにストップウォッチで測定して、より移動量が少なく、より短時間で料理できる方法を徹底的に研究したんです。
その結果の集大成が「ガスト」であり、本業の「すかいらーく」と同等の料理の品質を保ちつつも安い値段で提供できるようにしたんですよ。

これが日本式コストダウンの典型例です。

いま、この方法は海外の企業にも注目され、それを取り入れる所も出てきています。

日本人は凝り性だとよく言われますが、製品やサービスの質を極限まで高めるだけでなく、その工程や環境までも極限まで極めようとする、そこが日本企業の真髄です。
全てにおいて、高みを目指すんですね。

政府は来年度の目玉政策として「一億総活躍社会」などというのを掲げていますが、逆に言えば「一億総活躍」できなくなった原因は西洋式の安易なコストダウン、とりわけリストラや給与削減などを行った結果です。
その辺を官も民も分かってない状況で、こんな政策をやったところで税金の無駄です。

そもそも正規雇用を増やして、更に個々の給与も上げるなんて不可能ですよ。
まずは正規雇用というか、多くの国民が継続して安定した収入を得られる環境作りを官民一体で行う方が先です。
つまり月給40万円の人を一人雇うのなら、月給20万円の人を2人雇えって事です。
ワークシェアリングとも言われますかね。
どんなに優秀な人でも人間2人分の仕事をこなすのはほぼ不可能です。
また月給40万の人も、リストラされて無職になるより、多少給与は下がっても雇い続けてもらえる方が良いに決まってるでしょ。

人を減らすということは、品質を落とす事にもなります。
いままで2人でやってた事を1人でやらなければならなくなるわけですから、今までと同じ量の製品を作ろうと思ったら、どこかに無理が生じます。

そうじゃなくて、かつての日本企業がやっていた日本独自の、人を減らすのではなく、品質を落とさずに、工程や環境の無理・無駄を徹底的に減らす事でのコストダウンを行うべきです。

スクウェアがエニックスと合併しないとやっていけなくなった、それでもファミコン時代のような力が無くなったのは、一番大きな原因は身の程知らずにハリウッドでフルCG映画を作ったりといった、アホな経営で大幅な赤字を出した事が原因ですが、その赤字を埋めるために、創業時より優秀な製品を世に送り出し続けてきた開発者達をリストラした事が企業としての信頼や競争力の低下を招き、更なるピンチに陥る羽目になったんですよ。

つい最近も、特に海外で批判されたコナミの看板タイトルを作った社員の解雇なんかもそうですね。
いまは解雇したばかりで売り上げの数値にはまだ影響は出ていませんが、今後コナミは業績不振に苦しむ事になるでしょう。

日本企業のみなさんは、もう一度原点に立ち返り、「より良いものを より安く」を経営理念の第一に据えて経営して欲しいと思うしだいです。

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