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魂と肉体を繋ぐ紐

不思議体験も数十年生きていて一度もした事がないぐらい霊感0の鈍いリアリストな私ですが、一度だけ幽体離脱のようなものに成功しかかった事があります。
精神的に酷く疲れていた時期という、この手の話にはお約束な前提があるのですが、寝ていた肉体を残したまま起き上がった感覚に襲われたのです。
幽体離脱にあこがれていた私は、「ついにやった!」と思って目で見るのとは違う感覚で見える自分の部屋から、外に出ようとベランダの方へ歩いて(というか浮遊して?)行きました。
あと一歩でベランダの窓という所で、急に首の辺りをものすごい力で引っ張られて寝た状態の肉体に戻されたのです。
まるで肉体と魂を繋いでいるゴム紐のようなものが、限界を超えて伸びきった反動で縮むかのように。

この体験から私は肉体と魂を繋ぐ紐のようなものが、人間にはあるのだと思うようになりました。

これは生まれる前の赤ん坊と母体がへその緒で繋がっているのと同じで、赤ん坊は生まれると同時にへその緒は役目を終えて自然と切れるのか腐るのか、ともかく無くなってしまいますよね?
これと同じで肉体が死を迎えたときに、はじめてこの魂と肉体を繋いでいる「へその緒」的なものは切れるのではないかと。
どんなにがんばっても肉体が生きているうちは、人は完全に魂を解き放つ事ができない。

ただし人の肉体には個人差があります。
この肉体と魂を繋ぐ紐が長い人、緩い人が居るのではないかと思うのです。
そういう人が幽体離脱したり、あるいは気づかぬうちに幽体となって本来見えないものを見たり、行けない世界へ行ったり、できない体験をしたりしているのではないかと。
特に肉体や精神が疲弊している時は、この紐が緩むのでないかと。
この手の話に「そのときは非常に疲れていた」みたいな事が前置きで必ず入るのも、たぶんそうなのだろうと。
私もこれ以降は幽体離脱に成功したっぽい事は経験できていません。
恐らく精神状態が以前より安定してしまったせいでしょう。
自宅警備員なので肉体は疲れようもありませんしw

まぁ普通に考えれば脳の異常動作でしょうけどね。
「金縛り」なんかもよく霊体験の前触れみたいに言われていましたが、最近の研究ではそれが脳の錯覚である事が解明されつつありますし。
ただこうやって科学的になんでもかんでも解明されてしまうと、結果的に人間死んだらそれで終わり。
魂なんてものは無いし、永遠に無の状態になるだけという悲しい結論に至りそうで、それはそれで人間の精神は耐えられそうにありません。
死後の世界がある、あるいは輪廻転生というものがあって別の人間に生まれ変わる。
そう考えた方が精神衛生上は良いと思うわけですよ。

なにせ脳神経学だかなんだかの第一人者ですら、自分が死に掛けて死後の世界と思しきものを見て以来、自分の主張を覆して「死後の世界はある!」と言い出したぐらいです。
人間の脳とはそういうもので、幻覚・幻聴と同じように自分が体験したと脳が錯覚したものは、その人にとっては唯一無二の真実になってしまうのです。

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