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千と千尋の神隠し

昨日、もう何度目か分からない金曜ロードショーでの放映がありましたね。

人それぞれ感想はあるでしょう。

私はあの世界は、ネットでよくあるいわゆる「異世界」であり「神様の世界」であり、そして人にとっては「死後の世界」ではないかと考えます。
あの風呂屋の客はみな「神様」だと言っていましたから。
では働いている人間や人間のようなものは何なのか?
恐らく人間っぽい人達は、既にこの世に居ない人達でしょう。
その他の人(?)というか従業員はみな、恐らく生前は人間以外の何かの動物だったと思われます。
カエルも居ましたしね。
釜爺はおそらく蜘蛛かなんかだったんでしょう。

湯婆婆も人間の魂だと思われますが、あの魔力から生前はかなり名のある魔法使い、日本古来の言い方をすれば陰陽師とか巫女だったのでしょう。
それなのにあの強欲な悪徳商人っぽい性格。
あれももともとは違ったと思われます。

まず双子の姉妹である銭婆が厳しくも優しい、古き良き日本の典型的なお婆さんであることが根拠です。
ではなぜあのように悪徳商人のような性格になってしまったのか?
その鍵は「坊」にあると思います。
「坊」は湯婆婆の息子だと言われています。
息子はいくら魔女でも一人で作れるものじゃないと思いますので、旦那が居るはずです。
しかし旦那はこの物語には出てきませんし、存在の影すらありません。
恐らく何らかの要因で、消滅してしまったなどもう会えない状況にあるのでしょう。
だからこそ、その忘れ形見である坊を過保護とも言えるほど甘やかし、閉じ込めていたのだと思います。
旦那が生きて(?)居た頃は、湯屋も営んでおらず銭婆と同じくどこかで慎ましやかに暮らしていたと思われます。
しかし愛する旦那が消えてしまった。
そのショックであのような性格に豹変してしまったと考えるのが、一番しっくり来ると思います。
強大な力で湯屋を作り、あの世界の住人を雇い、金が全てな性格に。
旦那を失った寂しさの裏返しなのかもしれません。

もうひとつ、ハクについて。
ハクも謎が多いですが、それらの謎を解く鍵は腐れ神として現われ、最後は高名な川の主として帰っていったあの客にあると思います。
リアルの世界で自分の体である川を生活ゴミで汚された事で、腐れ神になってしまった。
だとするとリアルの世界で、本体である川を地下に埋められてしまったハクも、それによっておかしくなってしまったのだと思います。
本当の名前を忘れてしまったのも、地下に埋められた事によって川の存在が人々から忘れ去られて行った事が原因でしょう。

最後にかろうじて記憶に留めいた千によって、名前を取り戻しましたが。
あの後ハクはどうなったか?

恐らくは以前より神通力も落ちた状態ですが、やはり千と同じくリアルの世界に戻ったと思われます。
私の近所にも、私が子供頃によくザリガニやタニシやドジョウをとった川がありました。
今はコンクリートで蓋をされた状態で、川自体はその下を今でも流れているらしいですが、見る事はできません。
たぶんハクの本体もそんな感じでひっそり残っていて、それゆえにかろうじてリアルの世界に帰って来れるのだと思います。


宮崎駿の作品は、自然保護のメッセージが込められているものが多いです。
これは手塚治虫の作品もそういう物が、特に火の鳥などで多かったです。

両者に共通しているのは、自然には神が宿っており、それを忘れたり蔑ろにするのは良くないのではないか?というものです。
これはキリスト教やイスラム教や、あるいは原始仏教にすら無い日本独特の考え方です。
正確には、全ての国の全ての民族が本来はそうした信仰を持っていたはずですが、後発の宗教におされて忘れ去られ、世界でこのような信仰をいまだに保っている民族は、非常に少ないということです。
特に先進国と言われる国では、日本以外には無いでしょう。

日本は無宗教の国で日本人は無神論者だとよく言われますが、それは違います。
なぜ未だに七五三をやってるのか?
ひな祭りや鯉のぼりや五月人形を飾るのか?
寒い冬の、しかも元旦にわざわざ神社まで出かけて初詣するのか?
擬人化というオタク文化が広く受け入れられているのか?またはそのような発想が次から次へと出てくるのか?

これらはみな日本人が意識せずに、未だにこの世界のありとあらゆるものには魂が宿っていると考えているからではないでしょうか?
感情を持ったロボット、ドラえもんとか代表的ですが、そういうのを何の違和感も不自然さも感じずに受け入れられる。

かろうじて残っているそういう日本人の心に訴えかけるのが、この千と千尋のような作品なのだと思います。

宮崎作品という事で、海外でも評価が高いですが真に作品を理解できるのは日本人だけでしょう。
その証拠に海外のレビューでは、世界観の綺麗さ音楽の良さは絶賛されてますが、ストーリーというか全体的に何を言いたいのか分からなかったという感想が多いです。
それゆえ、他の単純明快なメッセージの宮崎作品に比べて、面白さはそんなに感じなかったと言う人もいます。

ナウシカは環境汚染に対する批判。
ラピュタは単純な冒険活劇。
トトロは昔の日本の風情の良さ。
もののけ姫は自然と人間の戦い。
魔女の宅急便は子供の自立。

こういった欧米でも理解しやすい核の物語ではないのが、千と千尋の神隠しなのだと思います。

まぁでも、どう感じるかは人それぞれですよね。
国語のテストのように、これが正解とかてめーで書いた、作った物語でもないものを勝手に解釈してそれを人に押し付けるような事はしたくないので、あくまで私個人の感想ということでw

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