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江戸時代は8割以上が農民だった

日本においては、西洋化が始まる明治時代以前、江戸時代までは農民の比率が圧倒的に高かった。
そんな当たり前の事が、どこかで記事になったらしく、某大手掲示板で話題になっていました。

俺の先祖は農民だった・・・
俺はどっかの士族が先祖だった イエーイ

みたいなレスが沢山ありました。

私は違和感を覚えました。

農民は貧乏で地位も低く恥ずかしいという風潮。
士族は豊かで力があり、名門とか言われて名誉もあるという風潮。

おかしいです。

そもそも士族は農民が米を作ってくれなければ、生きていく事さえできないわけで、本来は農が主であり士は従なんですよね。
農民は士族だの貴族だの居なくなって、食っていけます、自ら食料を生産しているわけですからね。
江戸時代の身分制度である士農工商は、士以外は非常に妥当だと思います。
なぜなら農民が居なければ、工も商も生きていけないからです。
人類の歴史を見ればわかりますが、食料が十分にあって始めて食料生産以外に携わる専門職というのが成立するようになったわけです。
工というのは鍛冶屋であったり大工であったり、そういう職人と呼ばれる人達ですが、彼らは農が居れば商は別に居なくても生活は成り立つわけです。
だって自分で作ったものを売れば良いわけですからね。
商というのは、農も工も居ないと生きていけません。
自分たちは何一つ生産できないわけで、他人が作ったものを単に売ってるだけ、右から左へ流して上前をはねているだけですから。
いわば寄生虫のようなものです。
士に関しては農が居なければ食事ができないし、工が居なければ象徴である刀も持てないし服も着られない、商が居なければ、特に江戸時代後期などは借金も藩の財政を維持していく事もできなかったわけです。

つまり先祖が農民だった人こそ、先祖を誇るべきなのですよ。

もちろん、士が不要だとは言いません。
人間というのは群れでないと生きていけない弱い動物ですから、誰かがリーダーシップを取らなければ群れが崩壊してしまいますし、誰かが外敵と戦わなければ群れは壊滅してしまいますから。

効率の問題もありますよね。
第一次産業というのは、人の都合で休めません。
農業も畜産業も漁業も、相手の都合に合わせて働いたり休んだりしなければいけないわけです。
いま米の収穫で忙しいとか、サンマが大漁の季節で手が離せないからといって、敵が攻めるのを止めてくれるわけじゃありませんからねw
よって政治家であり軍人でもあった士族は一定数は必要だったわけです。

しかしだからといって、士が農より上の立場であるという理由にはなりません。
百歩譲っても、士も農も工も商も平等です。
どれが欠けても、江戸時代の社会は成立しないわけですから。

日本人は西洋の絶対王政のように、支配階級は横暴でも馬鹿でも無かったと思える事が最近の研究でわかってきています。
つまり、農民あってこその自分たちである事を理解している士族がわりと多かったようで、農民に対しては身分制度でも自分らの次に偉いんだよといってご機嫌をとったり、年貢も高い比率で無理やり徴収する何て事は殆どしなかったと言われています。
特に「一揆」に関しては非常に恐れられており、それが起こるとそれを口実に統治能力なしと見なされて、江戸幕府に家を取り潰されてしまうというのもありましたが、鎮圧しても農民に死者が出ればそれだけ食料の生産力が落ちるわけで、士族にとっても損にしかならないからです。

これは現代社会においてもそうです。
政治家なり官僚なり、一定の権力や特権が認められている層は、税金を納めてくれる国民が居てはじめて食えるのです。
自らが何かを生産したり、商売したりしてるわけじゃないのですからね。
現代社会においては、国が無いと一般国民も生きていけません。
警察が居なかったら犯罪者によって殺されたり、不当に財産を奪われたりして生きていけませんし、消防だの救急が居なかったら、怪我したり病気になったり火事になったら、そのまま死ぬしかありません。
ですがそういう非常事態が起こらない限りは、政治家も役人も居なくても生きていは行けるんですよ。

終戦直後のヤミ市が横行した時代、一番力を持っていたのは戦時中にわぁすごーい、えらーいって言われていた軍人でも政治家でも学校の先生でも警察官でも、そして天皇ですらなく、農家ですw
インドかよwwwって思えるような、汽車の車両にしがみつくようにしてまで乗っていたヤミ米の買出しに行く人達、どこへ行ったのかと言えば、農村ですよ。
今まで馬鹿にして見下してた農家の人に、頭を下げ、平時だったら割に合わないようなレートでの物々交換でお米だの野菜だのを分けてもらってたんです。
これは実際に祖父母からそういう話を聞いたので、実話として知っているだけです。
はだしのゲン などの終戦後の日本をかなり正確に細かく描いた漫画にも、そういった描写がありますが、あれは大げさでも嘘でもなく、真実の姿です。

私はそのような事を見聞きして育ったので、農家や漁師さんや土方と言われる職人さん達こそ、尊敬されるべき人達だと思っています。
そういう方々よりお金を稼いでいようが、人気があろうが、その他の職がそれらより上ということは絶対にないと思っています。
そういう思い上がった人間や考えは、必ず戦争なんか起こらなくても、世界的な異常気象や自然災害の多発などで食料難になった時に、思い知る事でしょう。
食事をする前に言う「いただきます」は、日本人独特の挨拶(?)であり、英語訳ができない言葉のひとつです。
これは、食材となってくれた命に対する感謝とともに、それらを育てたり採ってきてくれた農家や漁師や畜産家の人達への感謝も含まれて居ます。
つまり農家の人は、全国民に3度の食事毎にお礼を言われていると言っても過言ではありません。
そこまで感謝される職業、ほかにないでしょ?

つい先日「安室奈美恵」さんが引退を発表して、「今までありがとう」という言葉があふれていますが、彼女でさえ引退を発表してはじめて「ありがとう」と言われるわけですよ。
3度の食事毎に安室奈美恵さんありがとうなんて言ってる人、居ないでしょ?w
安室奈美恵さんは、確かにあの時代に青春時代をすごした人にとっては、とてつもない影響を与え、心の支えになったり勇気をもらったりした人が大勢居るのは事実でしょう。
特にファンでもなんでもなかった私でさえ、彼女の曲をいくつか知っていますし、いい曲だなぁと思えるものがありますから。

でもだからといって、顔も名前も知らない普段食べている米や野菜や魚や肉などの生産者より、彼女の方が人類に貢献しているとは思えません。
自分にとって感謝すべき、大切な人である事にはならないのです。
だって安室奈美恵さんが居ても居なくても、彼女の歌を聴いても聴かなくても、死にはしませんけど、食事をしなければ人間は死んでしまうわけですからね。

あくまで極端な例ですので、安室奈美恵さんのファンの方を否定しているわけではないですよ?

ただ人間にとって、一番高貴で必要不可欠で貢献している人、職業ってのは農家だという事をもっと認識すべきでしょうという話です。
別に農家の人にひれ伏せとか言ってるわけじゃなく、せめて「農家www」と馬鹿にしたり見下したりするのは、止めましょう、自分が無知で馬鹿な人間だと言ってるようなものですよ という話です。

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