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オーバーロードとかいう結末が既に分かっているのに売れてる物語w

オーバーロードは原作ラノベの売り上げや、アニメの評価が国内外問わず高い人気の「異世界もの」です。

来期にはアニメ第三期が始まる事も決定しており、その人気はまだ継続中です。

さて、このオーバーロードという作品ですが、一番びっくりしたのは、他の物語だと「悪者」や「魔王」とされる側が主人公であること・・・ではありません。
もちろんそれらも珍しいものではありますが、私が一番「えっ?」と思ったのは、早々にかなり明確な物語の結末への伏線が出ていたからです。

アニメで言うと、第一期第11話ですね。
主人公のアインズが、ギルド倉庫に貴重なアイテムを取りに行く際に、そのギルド倉庫の扉を開ける「合言葉」がそれです。
「斯くて汝、全世界の栄光を我がものとし、暗きものは全て汝より離れ去るだろう」

つまり主人公は世界征服を成し遂げるが、今現在の僕であり仲間でもある「守護者」と言われる面々とは別れる事になると言ってるわけです。
これほど物語の初期の段階で、明確な結末を示した伏線を出すものを、私は今まで見た事がありません。
もちろん、これは何の意味もない、それを設定したプレイヤーが中二病だったとかいうギャクの一環かもしれませんし、あるいはトラップである可能性もありますが。

小説だろうが漫画だろうが、物語の作者というのはそれを連載開始した段階で、すでに結末でま頭の中にあるのが普通です。
それは多くの人気ラノベ作家や漫画家が述べています。
というか結末がなければ、物語なんて書けないって事でしょう。

私は小説家でも漫画家でもありませんが、プログラマっぽい仕事はしていたので、「結末が決まっていなければ、物語は書けない」という理屈は納得できます。
なぜなら、プログラムもそうだからです。
どういうソフトウェアを作りたいのか、どういう機能を実現したいのか、どういう計算結果を求めたいのか、それが決まってなければ、プログラムはそもそも作れませんからねw

なので特段、こんな初期の段階で結末を匂わせるような事が出てきても、不思議ではないのですが、あまりにも露骨すぎないかと驚いたわけですw

各所で行われている読者やアニメ視聴者の考察で、主人公アインズの目的が最終的にこの異世界の世界征服である事は、ほぼ確定だと言われています。
物語の最初期の段階で、飛ばされた異世界の全体像ともいえる、地球のような惑星の形を宇宙から見ているような場面で、主人公がポロッっと「世界征服してみるのも良いかもしれないなw」とか言ったのを、付き従っていた部下の一人が聞いており、それを主人は世界制服を望んでいると解釈して、実行しはじめたというのが読者・視聴者の間の考察では主流ですし、それは作者の意図した通りなのでしょう。

だからその後に、上記のような物語の結末を予感させるような「合言葉」が出てきたと思われます。
世界征服はなされるよと。
ただし主人公は、「こうして主人公は、その仲間とともに、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」では終わらないよと。
「暗きもの」という単語で示されている主人公の仲間たちは、「離れ去る」と書かれていますからね。
それが「離反」なのか、あるいは仲間達だけ元のゲームの世界に帰ってしまうのか、あるいは「暗きもの」じゃない存在になるのか、それは分かりませんが。

主人公は現実世界では親しい友人どころか、親さえすでにこの世には存在しない、非常に孤独な人間であると述べられています。
それがネットゲームを始めた事によって、ネット上の存在かもしれないが、ギルドメンバーという親しい友人達ができたが、それらも「引退」という形で次第に人数が減っていき、最後は主人公一人だけになってしまう。
かつての「友人」達が残した忘れ形見とも言える、主人公の仲間である元NPCの「守護者」と言われるキャラクター達だけが、その孤独感をかろうじて癒してくれる存在であるが、最終的にはそれらも失い、孤独なまま物語を終えるという、とてもハッピーエンドとは言えないような結末になりますと、示唆しているように、私には見えます。

そもそもこの物語の現実は、現代ではなく「近未来」であり、しかもその「近未来」像がかなり悲惨なものです。
なんでも、環境破壊が進んで食糧難になり、現代の世界秩序は崩壊。
その隙をついて台頭した、世界的な複合企業が世界を支配するようになっているらしいです。

つまり現実も仮想世界も、どちらの設定もかなりダークな世界であり、だからこそ主人公も「リッチー」と言われるアンデットの王という、普通の中世ファンタジー風異世界では「悪者」であり「敵」でしかないものになっている。
もちろんゲームでそういうキャラメイクをしたからなのですがw

なので仲間もみな、モンスターやアンデットや悪魔ですw
見た目は人間っぽく描かれてますがね。
人間種をゴミのように思い、それらを殺そうが拷問しようが食べようがなんとも思わないし、むしろそれが当たり前という価値観であり、かろうじて元人間である主人公も、様々な影響によりそのように振舞うのが原則になっています。

示唆されている結末から見るに、欲して止まなかった「仲間」という「友達」を失う代わりに、「人間性」を取り戻すのか、あるいは「人間」と「友達だけど人間ではない、むしろ人間とは相容れない価値観の存在」のどちらか一方を選択しなければならなくなり、結局は「人間」である事を取ってしまったという風になるんでしょう。

なので私はこの物語は、「結末がどうなるんだろう」ではなく「その結末までどういう道筋を辿るんだろう」というのを楽しむものなんだと思っています。

もっとも物語というのは、作者の立場から言えば「結末までの道筋」をいかに面白く、あるいは誰にも思いつかないものすごい発想で実現するかに全力を尽くすので、ある意味、作者の側から見て物語を楽しむという新しい試みをしているのかも知れません。
つまり通常は

作者─物語─読者

ですが、

作者─物語
読者/

という構図にしたいのではないかと。

物語自体は面白いです。
でもこれが売れまくってる理由は、単に「物語が面白い」からではなく、既存の物語というものの定義に従わない、壊すような実験的な革新的な事をやっていて、それがウケたのだと思いますね。

主人公は世界征服を成す。
しかし仲間とは全員別れる。

それはどういう「経緯」を辿ってそうなるのか?
それを楽しむ、考察する、見てみたい。
それがこの作品なのではないかと思います。

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