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GATEに見る自衛官の思い

GATEとは、元自衛官であり(恐らく)かなりのオタクである作者による、異世界小説である。

東京に突然現れた「GATE」と呼ばれる異世界とこの世界を繋ぐ「門」が、ある日突然あらわれ、そこから異世界軍が大量に進軍してきて街を破壊し、日本国民を殺戮した事件から始まる。

それに対して自衛隊が応戦し、運よく相手側の世界が中世程度の文明レベルであったため圧勝。
その後に「門」の異世界側にそのまま陣を貼り、調査と警戒を始めるという物語だ。

自衛隊が異世界に行く話しは、古くは有名な「戦国自衛隊」などがある。

さて、物語はもちろん面白いのだが、重要なのはこの物語を「元自衛官」が作っていることにある。
話を見ていけば、随所に「自衛官の思い」というものが見て取れる。

もちろん、一人の元自衛官の思想や価値観だけで、それを自衛隊や自衛隊員の総意だと思うのは行き過ぎだが、少なくともそういう人が自衛隊の中に少なからず居ると思っても良いと思う。

マスゴミなどに情報操作されたものでない、ネット上に溢れる情報からも、割と真実を突いていると思える部分もある。

まず自衛隊は「マスゴミ」や「野党政治家」を快く思ってないという点。

異世界の自衛隊陣近くの村が、ドラゴンに襲われ、「村人」という「民間人」の救出と保護をせざるをえなくなったエピソードのときに、逃避行中に再度ドラゴンに襲われて、それを何とか「近代兵器」の力で怪我を負わせて追い払うという話があった。
この際に、避難民に死者が出た。
一方の自衛隊員は少数の引率のための人員しか随行しておらず、その少数が追い払ったわけだが、当然数百人もの避難民全員の命を守るなんてのは、いくら近代兵器を持っていても不可能だ。
だが「現地の民間人に死傷者を出した」という事で、野党からの攻撃材料となってしまう。
参考人招致で、その時の引率部隊の隊長であった主人公が、現地民間人の代表となった数人のヒロイン達とともに国会で答弁をしなければならなくなったが、その時のあまりに偏った野党の誘導尋問に対して、現地民代表のヒロインの一人が、ぐうの音も出ないほどの反論をした場面がある。
詳しくは原作を読むか、アニメ化された話をみて欲しい。
ドラゴンこそ出てこないが、現実の世界でも自衛隊というのは今まで国内の大規模な災害地域や、戦争や内戦で破壊された国への復興支援など、数々の任務をこなしている。
それに対する反日勢力の批判に対しての、現場自衛官の怒りが見て取れる。

マスゴミに関しても同じ。
現地で危機的状況が起きていて、すぐにでも部隊を派遣しないとならないが、法や政治的な駆け引きで政府からなかなか許可が下りない。
いつ許可が下りてもすぐ出撃できるよう、装備を整えて待機している空挺部隊の姿が、知らない人から見るとまるでサボって昼寝をしているように見える事から、それを自衛隊批判の材料にしようと撮影しまくる典型的な左翼新聞記者が出てくるエピソード。
しかのその新聞記者が語った、偏向や捏造してまで世論操作しようとする事の理由の本音付きでw
恐らく作者は同じような体験をしたか、あるいは部隊に居たときにそういう話を聞いたのだろう。
事実を意図的に捻じ曲げて、自衛隊を叩くためだけの取材をするマスゴミのことをw

戦場カメラマンなど一部を除いて、マスゴミの記者というのは安全な場所で文句を言うだけの存在である。
しかもその文句が筋が通ったものならまだしも、悪意に満ちた偏向しかしない。
それに対する、現場で命を貼って任務をこなす自衛官の怒りというのが感じられる。

与党政治家に対しての思いも見て取れる。
支持率ばかりを気にして、自分たちの命の事や自国民を守るという使命に関しては二の次。
もちろんいくら高尚な理念を持っていても、自衛隊員の気持ちや使命を理解していても、当選して政治家という地位を得ていなければ、守ることなどできないじゃないかという政治家側の「都合」もあるだろう。
次の選挙で落選する事になろうとも、自分の信念を貫ける政治家という、自衛隊員のみならず日本国民が望む理想の政治家が幾人か出てくるw

敵が現実世界の中世レベルの文明であり、こちら側が圧倒的に有利であるにも関わらず、どこぞのすぐ「USA! USA!」する国とは違って「平等」で「公平」な関係を築こうと努力する。
それは第二次世界大戦の結果が未だに世界を支配している今日において、敗戦国である日本が「大日本帝国バンザーイ」をできないというのもあるが、それはそれでいいじゃないかという思いも見えてくる。

その一方で、それなりの力を持ち、大儀や正義も我にありという状況でも、力を行使できないもどかしさも見える。
それが話の中で何回か出てくる、敵対勢力への一方的とも言える軍事攻撃で大勝利を収める場面に感じる。

全体的にこの物語は、自衛隊員の「正義のヒーローになりたい」という思いを具現化したものであるw
そしてその「正義のヒーロー」像は、アメリカ映画などとは違う、日本人が考える本当の「正義のヒーロー」像である。
すなわち、何でもかんでも自分が正しい、相手は極悪非道の情状酌量の余地もない大悪党で、それらを圧倒的な力でねじ伏せ、全滅させる。
そんなもんは日本人的な価値観からしたら、単なる自分勝手な乱暴ものであり、ヒーローなんかじゃないという考えだ。

子供や子供のまま大人になったような馬鹿には支持されても、理性ある大人であり、現場を知っている人間は騙せませんよというメッセージもあるのだろうか。

「日本があまりに正義に描かれすぎている」「うちの国はこんなに悪い国じゃない」と、このアニメ化作品には批判の声も多い。
架空の物語なんだから、多少の誇張やステレオタイプがあるが、おおむね日本から見た戦勝国連中の今の姿を正しく捉えているw
日本は極悪非道国家だと未だに批判する外人も少なくないが、そういうお前らの国は戦前の日本を批判できるほど、綺麗な歴史を持ってんのかとw
日本語は「日本」でしか使われてないが、英語やスペイン語やポルトガル語などが遠く離れた国でも「自国語」として使われてるのはなぜなんですかねぇ?とw

国内では「自衛隊賛美だ!」「軍隊や戦争を賛美するなどけしからん!」という声もある。
しかし「自衛隊」はその創設以来、どこの国とも「実践」を行っておらず、自国民や他国民の命を守ったり救ったりした事はあっても、「殺した事は一度もない」軍隊でもある。
その一方で、現在進行形で他国民のみならず自国民まで殺しまくってる軍隊はいくらでも存在する。
NHKの大河ドラマというのは、すべて「侍」と呼ばれた当時の「軍人」や「軍人兼政治家」が主人公である。
人を一人も殺してない現代の自衛隊はダメで、過去の実際に人を何人も殺した軍人を英雄的に扱うのは良いと?w

各国の工作員が日本には多数存在している。
それは同盟国であるはずのアメリカも例外ではない。
しかも日本の「諜報機関」とも言える「公安」はその事を把握しており、アメリカの工作員とは顔見知りであるという演出まで、話の中では出てくるが、これもあながち「妄想」とは言えないのかもしれない。
なにせ一般人よりは、そういう「裏話」や「裏事情」に詳しいであろう、「元自衛官」の書いた作品なわけですからw

このように、この作品は物語そのものが面白いのはもちろん、「元自衛官」の価値観や思いというのが随所に現れているものでもある。
そういう見方をすると、また違った魅力が見えてくる良作だと思うので、お勧めしたい。

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