2ntブログ

将棋のプロ棋士の頭

さきほど、某ワイドショーで藤井七段が史上最年少新人王を獲得したとかの話題をやってました。

その際に解説で出てきた同じくプロ棋士の人が、藤井七段の今年一番の良い手というのを、新人王戦ではないですがとある対局で見られたとかで、その前後の手から全て駒を動かしながら説明してました。
その時に、司会の恵さんほかのメンバーは、「そんな前の、しかも他人の対局を覚えてるの?」って驚くぐらいに、正確に全ての手順を披露したわけですが。

さて、将棋のプロ棋士も今までの生涯でおこなった全ての対局を最初から最後の手まで覚えているわけではないとは思います。
しかしながら、確実なのはプロ棋士であれば誰でも対局の最初の一手から最後の一手まで覚えているのが常識です。
なぜなら、プロ棋士同士の対局では相手が投了して対局が終了した後で、反省会みたいなのをするわけですが、その時にまた最初から今の対局を一手目から「ここはこうすれば良かったよねー」なんて言いながらもう一回再現するんですよ。
それは少なくとも今の対局の一手目から全て覚えていなければできません。

私もかつて小学生ぐらいの時に将棋にはまり、将棋を教わった親父はもちろん、学校内の将棋クラブでもその学校で最強と言われていた奴に勝つぐらいに、それなりに上手くなった時期がありました。
そんな記憶力とかも一番優れているであろう小学生の時の私でも、いましがた自分がやった対局の一手目から全て覚えてるどころか、数手前の場面すら覚えていないのが当たり前でした。
まぁだからプロ棋士とかまでは到達できなかったんでしょうがねw

このプロ棋士の脅威の記憶力に、当のプロ棋士達以外は驚き勝ちですが、実は人間としては不可能ではない当たり前にできる事でもあります。
プロ棋士の方は「将棋」に多くの脳の処理を使っているだけであって、じゃあプロ棋士は記憶力がすごいから、六法全書なんてすぐ覚えられて、司法試験とか一発で受かるかといえば、そんな事はありません。
プロ棋士はみな東大の入試に受かる事ができるかといえば、おそらく誰も受からないでしょうw

脳の使い方が「将棋」に限定されているからです。
プロ棋士の方は藤井七段の師匠の方や、あるいは羽生さんなんかもそうですが、インタビューとか見ると、しゃべり方がコミュ障っぽい感じを受けませんか?
もっと言えば加藤一二三さんとか、あの人の相手ができるテレビの司会の人はすごいなってぐらい、しゃべるの大変そうに感じませんか?
加藤一二三さんなんて、将棋のレジェンドでなければ、ジミー大西と同じようなちょっと頭の弱い人かと思うでしょうw

また記憶力で言えば、プロの音楽家とか演奏の際に楽譜とか見ません。
どんなに長い複雑な曲でも、発表会とかコンサートとかで演奏する時は、楽譜なんぞ無くても演奏できます。
それは楽譜が全部頭の中に入っているからです。
これを音楽用語で「暗譜」と言います。
この「暗譜」は将棋の対局の一手目から覚えるのと同じように、その道のプロや上手い人なら誰でもできます。
私もかつてピアノを習っていましたが、発表会とかで曲を弾く時は、ぶっちゃけ楽譜なんぞ見てませんでしたし、楽譜が無くてもいつでもどこでも弾けました。
当たり前のように「暗譜」ができるようになっていたからです。

楽器の演奏ができない人からすれば、この「暗譜」という能力も、将棋の棋譜を全て覚えているのと同じように驚愕されるらしいです。

さて、これらの記憶能力にはおそらく共通のやり方があると思われます。
それは言葉や数字を覚えるのではなく、「イメージ」で覚えるという事です。

どういう事かというと、私自身もかつて行えた「暗譜」で説明すると、楽譜を見なくても完璧に演奏はできますが、かと言って「じゃあ今演奏した曲を楽譜に書いてみろ」と言われると、書くのは非常に難しいですw
なぜなら、音の流れという「イメージ」で覚えているのであって、「楽譜」という紙み書いた記号の羅列を覚えているわけではないからです。
同じく将棋の棋譜を覚えられるプロ棋士の人も、将棋盤を見ないで今の対局の一手目から全てを紙に書き連ねてみてって言われたら、「え、ちょっと待ってwww」となると思うんですよ。
なぜなら、駒の動きを「先手 ○○歩」とか、そういう言葉で覚えてるわけじゃないからです。
盤上の動きを「イメージ」で覚えているからです。

これは以前、語学学習の時にも言いましたが、人間は「言葉」を覚えるより「イメージ」を覚える方がはるかに速く大量に覚えられるという事だからです。
「言葉」や「文字」というのは、コンピュータで言えば開発言語の英字の命令文や数式のようなもので、CPUが実際にそれらを実行する時には、16進数の羅列、もっと正確には0か1かしかない2進数の羅列に「翻訳」して実行するのと同じだからです。
人間の脳は「言葉」も「文字」も、それ自体を覚える事は出来ないわけじゃないですが、困難なのです。
人間の脳が記憶できるのは、あくまで「イメージ」だけなのです。
じゃあなんで言葉や文字が扱えるかといえば、それらを「言葉」や「文字」としてではなく、音のイメージや映像のイメージとして覚えているからです。
だから言語学習は、わざわざ脳内翻訳作業が発生するような覚え方ではなく、意味も何も考えずに「イメージ」で覚えた方が速いと言ってるのです。

同様に、そういう「イメージ」で覚えられるから、プロ棋士は棋譜を、音楽家は楽譜を、どんなに複雑で長くても覚えられるのです。

家族で例えば外国や、あるいは日本国内でも「標準語」と大きくかけ離れた「方言」が今も強く残る地域なんかに引っ越すと、同じ時間をその地域で過ごしても、子供の方が圧倒的に速く現地の「ことば」を覚えます。
それは大人はどうしても日本語ではこれはどういう意味、標準語では何と言う言葉にあたる単語かというのを、いちいち脳内で考えようとするからです。
対して子供は、その「言葉」が使われた場面と音の「イメージ」だけを覚えます。
だから子供の方が「覚える」のが速いのです。

将棋の棋譜も、「○○歩」とか新聞とかに載ってる指し手の文字で覚えるのではなく、この辺の駒をこう動かしたら相手があの辺のあの駒をこう動かしてきたという漠然とした映像の「イメージ」というか、「流れ」で覚えるようにすれば、たぶん素人でもプロ棋士のように、自分が直前に行った対局ならば一手目から正確に再現できるようになるのだろうと思います。
同様に、楽譜の「暗譜」も譜面の記号の羅列を覚えるのではなく、音の流れを覚えるというやり方をすれば、誰でも簡単に「暗譜」できます。
というか、そもそもみなさん好きな歌とか、わざわざ楽譜とか見なくても歌えますよね?
好きな歌手の好きな曲とか、楽譜というもの自体を見ることなんてまず無いですよね?
でも歌詞すら見ないで、歌えますよね?
これがプロ棋士が棋譜を、音楽家が楽譜を覚えているのと同じ理屈です。

記憶とは「イメージ」で覚えるもの。
これが今回言いたかった事であり、誰にでもできますよって事です。

コメントの投稿

非公開コメント

カウンタ
プロフィール

ウホッ!いい男

Author:ウホッ!いい男
異世界転生を待ち続ける中高年のおっさん

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR