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シミュレーションゲームに見るゴーン事件

私はここ最近、「野球道Ⅱ」(日本クリエイト 作 球団育成経営シミュレーション)・「天下御免」(アートティング 作 江戸商人人生シミュレーション)・「プリンセスメーカー1・2」(GINAX 作 娘育成シミュレーション)と、3つの「育成シミュレーション」について、その紹介や攻略・批評などを行ってきた。

さっき「ひるおび」が、さすがにゴーン事件に視聴者が飽きてきている事を危惧したのか、今までとは違う視点で、また特集していた。
それが「三越事件」と言われる、同じく経営が悪化していた大手企業を建て直し、その功績でワンマン経営者と化して行き、最終的に会社を私物化した事で、取り巻きに裏切られて社長を解任されたという事件と、今回のゴーン事件は似ているとして紹介していた。

まぁ「三越事件」の場合の英雄から悪者になってしまった、岡田社長なる人物は、ゴーンと違って社員を大量に犠牲にして利益を得るとかいう、糞みたいな事をやったわけではなく、今まで誰もやった事が無い、誰も思いつかなかった事を次々とやっていて、会社の経営を立て直した事が紹介されていたので、明らかに「有能」度ではゴーンなんかより遥かに上だったと思う。

だが2人とも、会社の経営が順調になってくると、なぜか狂いだす。
この会社は俺のもので、どう扱っても良いのだ。
俺の会社なんだから、俺の私生活の金も会社が出すのは当然だ みたいな事をやり始めるという共通点があったわけだ。

これを見ていて、ふと思ったのが表題のシミュレーションゲームの後半と似ているなぁという事だ。

シミュレーションゲームというのは、育成だろうが経営だろうが国取り戦国ものだろうが、ゲームの終盤というのは、もうほぼ一人がち状態、何もしなくても儲かったり、何も考えなくても戦に勝てたり、消化試合のようになる。
そこで飽きてしまって放り出す人も多いと思うw

ゴーンも岡田も、この状態に陥っていたのではないかと言う事だ。
彼らは「会社建て直しシミュレーションゲーム」をしていたのだ。
だから目的を達成して、消化試合となってくると、やる事がなくて詰まらなくなり、飽きてしまう。
しかし現実世界の会社経営は、シミュレーションゲームのように「飽きたから、最初からもっかいやり直そう」とか、「もういいや、終りにしよう」とかいって終了させる事は出来ない。
だから会社を私物化して、金や権力に執着する事でモチベーションを上げよう、保とうとしたのではないかと。

シミュレーションゲームとか、やった事すらないじじぃどもや、上級国民様や評論家気取りの連中には分からない気持ちだろう。
ゴーンや岡田のやった事は、たとえその前にどれだけ会社への貢献があったとしても、許される事ではない。
だが、シミュレーションゲームをやると、ゲーム後半~終盤の消化試合のような展開でダレる事を何度も経験したゲーマーならば、気持ちは理解できてしまうのではないかと。

シミュレーションゲームの後半や終盤が消化試合になって、詰まらなくなるのは、全てのシミュレーションゲームが抱える問題であり、シミュレーションゲームの「永遠の課題」でもある。

現実世界のシミュレーションゲームは、セーブもロードもできない、一発勝負ではあるが、やはり後半~終盤は詰まらなくなるのは、同じだと思うのだ。

「会社の経営を立て直す」という目標が、達成されてしまえば、あとは消化試合なのだ。
そこで「もうこの会社での俺の役目は終わった」と、後進に道を譲るとか育成するとか、あるいは別の経営危機の会社を立て直しに行くとか、そういう事をしていれば、また新たに面白さを味わい、金だの権力だのに執着しないとモチベーションが保てないなんて状況にはならなかったと思う。

リストラされたり、ワンマン経営者に意見したために出世コースから外されたり、閑職に飛ばされたりした人たちにしてみれば、彼らの行動をゲームに例えるなんて、とんでもないと思われるだろう。
だが彼らは、所詮は「会社経営たてなおしシミュレーションゲーム」をやっていたに過ぎないのだよ。
でなければ、目標達成後に飽きたりしないw
飽きたからこそ、せっかく苦労して立て直した会社の経営が傾くかもしれないような、横暴な振る舞いや金の私的流用や無駄遣いをするのだよ。

人間というのは、目標があるから努力したりがんばったり出来る。
しかし逆に、目標が達成されてしまったら、今までそれに向けて行って来た事が続けられなくなるわけだ。
だからこそ、歴史上には最初の頃は有能で優秀だったにも関わらず、途中からおかしくなって、晩年は暴君や無能になってしまう奴が多く存在しているのだ。

この気持ちが分からない人は、何でも良いのでシミュレーションゲームというものをやってみれば良い。
私が紹介してきた「育成系」でも良いし、三国史や信長の野望などの国取りものでも良いし、あるいは「大戦略」みたいなものでも良いだろう。
いずれのゲームも面白いのは、右も左も分からないやり始めた頃と、ゲームのクリア目標を達成するために、あれこれ思考錯誤しながらコマンドを駆使する序盤~中盤である事が分かると思う。
目標を達成したか、もう達成間近となった場合の、あのむなしさ、詰まらなさ、残りを消化するダルさ、などなどは実際にやった人間にしか分からない。
そして、その気持ちこそが、ゴーンや岡田の会社私物化、金や権力の亡者へ走らせた原因であると理解できるようになるだろう。

有能な人間には、常に新しい目標を与え続けなければならないのだ。
決してトップに立たせてはならない。
目標を見失った「頭の良い人間」ほど、ヤバイ奴は居ないという事だよ。
その事に人類は、早く気づくべきだろう。

一時的に社長だの王様だの大統領だのにする事はあっても、目標を達成しきって消化試合になりそうになったら、即解任すべきなのだ。
冷たいように思われるかも知れないが、社長だの王様だの大統領だのが、突然解任されたところで、その日から即ホームレスになる事はない。
そういう連中ってのは、悪いことをわざわざしなくても、もう働かないでも食っていけるだけの十分な財産があるはずなのだから。

そうしないと、無駄に被害をこうむる人間が増えるという話。

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