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震災体験者の心の傷

某まとめサイトで、東北の津波をモロに経験してなお、運よく助かった人の体験談というか、独白というのを読んだ。

それを読んで、津波で全員死亡し、骨組みだけになった震災被害のシンボルになっていた某町役場の建物を、かたくなまでに残そうとして、解体に反対した人達の心情がやっと理解できた。

被災した人の中には、目の前で津波に飲み込まれるのを見てる事しか出来なかった人や、そこらじゅうに水死体、しかも人間の形を保ってればまだ良い方で、ちぎれた腕とか足だけってのをいくつも見てしまった人、あるいはこのまとめサイトの体験談を投稿した人のように、津波に飲まれてしまった「避難所」に、何人もの人が折り重なって死んでいる様子を見てしまったなどの場合、PTSDと言うのだろうか、そうなってしまうのは当然だと思えた。
アホなマスゴミのお涙頂戴の糞みたいなレポートや取材より、はるかに被災者の心情というものが理解できた。

彼ら被災した人達、特にそういう悲惨な現場を見てしまった人達ってのは、「自分が生き残ってしまった」という後ろめたさや、助けられたかも知れないのに見殺しにしてしまったという、罪の意識を背負う事になる。
そういう「罪の意識」を背負ってしまった人の心の傷ってのは、亡くなってしまった人達の「無念」を、どうにかして被災者じゃない人達に伝える事で、少しでも晴らそうという考えに至る人が出てくる。
これが、某役所の建物を解体する事に、頑ななまでに反対した人達の心情なのだと思う。
それが解体されてしまえば、人々からあの日の記憶が薄れてしまう、忘れ去られてしまう。
亡くなってしまった人達の「無念」を背負い込んでしまった、生き残った被災者には、それは耐えられない事なのだ。
無念を変わりに晴らしてやるための、大きな材料や手段のひとつを失ってしまうからだ。

忘れてしまいたいから解体には賛成って人達も、根本的に実は同じなのだ。
忘れてしまいたいほど辛い苦しい経験をした私を、かわいそう、あなたは悪くない、仕方がなかったんだと誰かに慰めて欲しい。
罪の意識を薄れさせて欲しい、許して欲しいという心情だ。

この体験談を投稿した人も、もちろんPTSDをわずらってしまい、その治療の一環として自分の見たもの体験したものを、他人に伝える事で、心の傷を癒すという治療をしているらしい。
精神医療の分野なんて、気休めだと思っていたが、こういう被災者の心情を思うと、理に適った治療をしてくれているんだなぁと感心した。

誰かに伝える事で、理屈では背負う必要のない「生き残った罪」や「亡くなった人達の無念」を、感情的な面で軽くする事ができる。
人が死を恐れる要因は2つある。
死んだ後にどうなってしまうのか分からないという事。
そしてもうひとつは、自分という存在がみなから忘れ去られてしまう事。

この2つが主な「恐怖」の要因なのだ。
生きていたって、「自分と言う存在が忘れさられる事」の恐怖は感じる。
それが「自己顕示欲」につながるのだ。
人間ほど、高度な死に対する思いが無い動物の場合は、単に異性に選んでもらうための本能でしかないがw

自分の体験を、思いを、とにかく多くの人に語って聞いてもらう事で、「あなたは悪くない」という許しを得る、あるいは亡くなってしまった人達の、「何のために俺は死んだんだ」とか「私の存在が忘れ去られる恐怖」といった「無念」を、代わりに晴らしてあげられているという満足感というか、贖罪というか、使命感を満たす事が出来る。
それが、少なからず心の「傷」を癒すことになる。

これは恐らく戦争体験者についても同じだ。
原爆や沖縄戦や空襲など、忘れたい、思い出したくないと思う人が居る一方で、生き残ってしまったという後ろめたさ、亡くなってしまった家族・友人・その他大勢の人の無念を晴らさなければならないという使命感、そういうもののためにあえて公演する人も居る。

そういう人を、「生まれてもない俺らには関係ない」とか「そうやって無駄死にしないためにも、強力な軍隊や兵器を持つ事が必要なんじゃないか」「感情論でなく理性で考えれば、ただただ反対反対、軍隊要らないなんて出来ない事はわかるだろ」と一蹴してしまう事はできない。
彼らは、それを訴える事によって心の傷を癒し、贖罪しているのだよ。

そしてそういう人達を利用して、自分はその時代に生まれてすら居ないくせに、他の誰かを貶める、マウント取る、主義主張をする、金儲けや権力や自己顕示欲を満たすためだけに利用する、糞左翼ども。
悪いのは全てこいつらなんだよね、マスゴミとかもそうだけど。

震災を実際に体験した人、戦争を実際に体験した人などは、たとえその話が現代の世界情勢に合わない、理屈に合わなくても、聞いてあげるべきなのだ。
というか、体験談の中に未来へ繋がるヒントがいくつもある事も事実なのだ。
それをどういう形で残し、どう生かしていくかは、個人がそれぞれ考える事なのだ。
左翼どもに偉そうに、だからこうすべきとか、上から目線で命令されるものじゃないのだよ。

つらい思いをした、苦しい経験をした人に付け入って、宗教に勧誘するクズとか、本当にこういう何の脚色も情報操作もされてない、生の体験談を聞いて理解した後だと、余計に許せなくなる。

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