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タバコとは?

喫煙者の立場から、タバコについて語ってみたいと思う。

よく「タバコを吸うと落ち着く」と、その効能を述べる人が居る。
実はこれは、正確ではない。
タバコには精神を落ち着ける効果なんぞない。

例えば、お酒などは初めて飲んでも体質的に合わない人以外は、フワフワして良い気分という、「酔っ払う」ことができる。
またやった事ないから知らないが、大麻だの覚せい剤だのも、恐らく初めてやっても気分が良くなれるのだろう。
だからこそ、医療用で使われる事もあるのだ。

しかしタバコに関しては、これらはない。
初めてタバコを吸った人は、ただケムいだけで気分が落ち着くなんて感じはとてもじゃないけど、得られない。
これは喫煙者である私が、最初そうだったからだ。

タバコを吸うと気分が落ち着く
のではなく、
タバコを吸わないと気分が落ち着かない
が正解なのだ。

喫煙中毒の禁断症状で「気分が落ち着か」なくなっているのが、タバコを吸うことで解消されるので、まるでタバコに気分を落ち着かせる効果があるように錯覚するだけだ。

つい最近、某芸能人が麻薬で逮捕された事で、ワイドショーなどでタバコはじゃあどうなんだってのをやってた。
タバコは麻薬並みに中毒性が高いと言われていたが、まったくもってその通りなのだ。

ではなぜ、そんなケムいだけで酒や麻薬のように、特別気分が良くなるわけでもないものを、人間は吸うのか?
答えは「かっこいい」からである。
もちろん、「かっこよさ」の価値観は人それぞれではあるが、少なくとも喫煙者というのは、「かっこいい」から吸い始めた人が多い。

怪獣が口から火を吹く映画とか、よくあるだろう。
なぜ怪獣は口から火を吐くのかといえば、それが「強そう」→「かっこいい」からだ。
「火」というのは、生物にとっては「死」に結び付く危険なものであり、だからこそ「人間」以外の生物は等しく「火」を恐れる。
だから現実世界には「火」を吐くような生物は居ないのだ。
だから「火」を吐く行為が、生物の常識を超越した強さの象徴として、「かっこいい」と感じるのだ。

もちろん人間も例外ではなく、火を吐ける人なんて居ない。
だがサーカスやマジックで、火を吐く「芸」はある。
口にアルコールなどの可燃性で人体に害が少ない液体を含み、それを霧状にブーっと噴出した所に火をつけると、まるで火を吐いているように見えるという仕組み。
実際に火を吐いてるわけじゃない。

タバコも同じで、口から煙を吐くという姿が、「かっこいい」に結び付くのだ。
煙というのは、「火」に付随するものであり、連想させるものでもある。
火を吐くのは不可能だが、煙ならば人間は吐けるのだ、タバコ吸えばだけど。
火じゃないけど、煙を吐くという行為が、まるで火でも吐けるよと言っているかのような、強さのアピールになるのだ。
そして喫煙にまだ厳しくない時代などは、タバコのCMは「かっこいい白人男性」が吸ってる姿を散々流して、「タバコはかっこよさの象徴」として、人々を洗脳してきた。
だから単にケムいだけで、精神が高揚するとか具体的な効果が無いのに、吸い始める人が後を経たなかったのだ。

昭和のアイドルである松田聖子の「赤いスイトピー」という名曲にも、「タバコの臭いのシャツに~」という歌詞が入っている。
これはタバコを吸ってるような、「かっこいい」(当時の価値観)男の彼氏を描写してるわけだ。

不良とか、ヤクザとかがよくタバコ吸うのも、「かっこよさ」の象徴だから。
つまりヤクザの「刺青」と同じなのだよ。

だから喫煙者は男の方が圧倒的に多い。
なぜなら、男というのは「かっこよさ」に憧れ、追い求める生き物だからだ。
これは動物の「本能」からくるものである。

生物というのは、子孫を残すことが最大の生きる目的であるが、自己分裂するような単細胞の単純な生命ではなく、オスとメスがあるような生物、植物全般と昆虫や魚類以上の生命は、交尾とかしないと子供は産まれない。
そのため、たくさんのライバルの中から自分を選んでもらえるように、オスは強さを、メスは美しさをアピールするようになっていったのだ。
つまり、サルだった頃の名残である本能なのだ、男が「かっこよさ」や「強さ」に憧れ、追い求めるのは。
その象徴のひとつが「タバコ」なのだよ。

しかし近年は、タバコの害が大きく注目され、それにともなってタバコ=「かっこいい」という価値観が崩れつつある。
松田聖子の時代はタバコの臭いのする男性は、「かっこいい」かったかも知れないが、今の時代は逆効果になりかねない。

だから近年は、新規にタバコを吸い始める人は減ってるわけだ。

何の効能もなく、害しかないもん、とっとと禁止しちまえよと、喫煙者の私ですら思う。
だが「違法」にしようって言葉は、政治家からも官僚からも、学者からも出てこない。
なぜなら、タバコは国の貴重な税収源だからだ。
原発やアメリカの銃と同じで、それが無くなってしまったら食っていけない人が多いからだ。
だから規制できないのだよ。

いま話題の高齢者による車の暴走事故。
あれも高齢者に免許を持たす事を禁止すれば、根本的に解決するわけだが出来ない。
なぜなら、いまの若者や現役世代は、とてもじゃないけど車を買う余裕なんて無いからだ。
若者の車ばなれ とか言われるが、若者が車に興味が無いのではなく、買えないだけなのだよ。
高度経済成長期を現役で過ごして、老後の蓄えも十分にあるうえに、年金もそれなりに貰える裕福な高齢者しか車は買わないからだ。
高齢者から免許取り上げたら、車が売れなくなっちゃうから、できないのだよ。

つまりタバコも銃も免許も、すべて「人の命より金が大事」だから規制できないのだよ。
これが世の中の真理だ。
いくら口では綺麗ごとを言ったって、しょせん人間なんてこんなもんなんだよ。

タバコを禁止すれば、日本たばこ産業はもちろん、タバコの原料を作ってる農家、ライターや灰皿などタバコ関連商品を作ってる会社など、かなりの数の人間の収入が無くなるのだ。
アメリカはこんだけ悲惨な事件が起きても、金のために醜い圧力を掛ける業界団体のせいで規制ができない。
なんて野蛮で遅れた国なんだろう などと日本人は馬鹿にするが、日本人も同じなのだよ。
自分らが思ってるほど、アメリカよりも道徳的に優れてるわけじゃない。
タバコを完全に禁止にしたり、高齢者から免許を取り上げるという案すら出てこない事が、それを証明しているのだよ。

生物というのは、極論すれば自分と自分の子孫だけが生き残れれば良いのだ。
お金という、現代の人類社会で生き残るうえで必須のもののほうが、他人の命より大事なのは当たり前なのだ。

タバコを本気で無くしたいなら、ただただ喫煙者を叩いても、実現しないのだ。
上で述べた通り、様々な要因をひとつひとつ取り除き、解決していかなければならないのだよ。
それを無視して、ただただ叩くのは「いじめ」でしかない。

タバコの値段を上げたり、タバコの有害性をアピールするのも、別に悪いとは言わないが、それだけでタバコが日本から消滅すると思ったら、大間違いだということだ。
日本タバコ産業は、臭いしない煙も出ないし、いくら吸い込んでも煙を吐く事ができない、そういうタバコを開発して、それだけしか売らないようにする。
煙を吐くという行為が「かっこいい」と思って喫煙者を増やしていた一因でもあるので、煙が吐けない、単に棒を加えてるだけになれば、少なくとも「かっこよさ」にあこがれて喫煙を始める人は居なくなる。
喫煙を始める人が居なくなれば、自然と売り上げも落ちる。
売り上げが落ちれば、タバコ産業で食ってる人たちも自然に転職や業務の転換などを、生き残りために強制しなくてもはじめるわけだ。
タバコ農家も別の農作物を作るようになるだろうし、ライターだの灰皿だの作ってる所も、それらのノウハウを生かした別の製品の開発と販売へ、業務を転換するだろう。
日本たばこ産業だって、既にタバコを作る事以外の様々な分野へ進出してるのは、タバコに未来が無い事がわかってるからでしょ?

そうやって時間を掛けて徐々に消滅させいくしかないのだ。
とっとと煙が出ないタバコを作らなかったタバコ産業。
タバコはかっこいいんですよと民衆を洗脳したテレビや映画などの映像業界。
そういうCMを作ってきた広告業界。
昔からタバコの葉を生産してきたタバコ農家。
タバコがある事で、商品が売れて商売が成り立ってきた、マッチやライターの業界。

喫煙者だけじゃなく、様々な人や業界に責任があるんだよ。
喫煙者だけ叩いても問題は解決しないし、「いじめ」でしかないと言うのは、そういう理由から。

死んだ人間は、いくら金を積んでも生き返らない、金で命は買えないとは真理ではあるが、だからといって金より命の方が大事なんてのは綺麗ごとでしかない。
人間は本能的にその考えに賛同してないし、できないわけだからw
人類全体で、そこを変えない限り、命より金が大事という理屈で動く、様々な不都合は解決しないだろうという話だ。

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